ペットロスの話

 

大好きなペットを失ってから半年経っても失ったショックが消えないので、少しでも楽になりたくて投下。

無課金が飼っていたペットのお話。

 

でもペットロスについてのお話なので、少しワンクッション置きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年の1月に11歳のシーズー犬がやってきた。

いとこのおじさん(私の母の姉の旦那)の親が飼っていて、親が亡くなっていたらしく数日ほぼ飲まず食わずでリードに繋がれて家の中にいたらしい。

 

元々この犬の話は聞いていた。そのいとこのおじさんの家族曰く、

「とてもうるさくずっと吠えている。トイレもしっかりできず、あちこちにおしっこもしてしまう」と嘆いていた。

私の母の姉の旦那の家族であるし、田舎のコミュニティーなので母も葬儀に参加した時に、飼い主が亡くなってしまった以上、誰が飼うか、そんな話になった。

家族は、「こんなしつけのなってない犬は貰い手がいなかったら保健所に連れていく予定だ」と。

 

母は泣きながら酷い、悔しいと言いながらそんな話を私に言ってきた。

私も、そんな話を聞いて、まだ会っていないし見た事ない犬に「悲しい」と感じた。

「いいじゃん、うちで飼おうよ。こんな話を聞いて保健所に行かせるなんてかわいそうだよ」

勢いではなく、今では勢いなのかわからないけどそんなことを母に言った。

母も、「無課金ならそういうと思ってた」みたいなこと言ってた気がする。あんまそこは覚えてないけど、すぐに母は母の姉に連絡をしてあれよあれよと話を進めていた。

 

2019年といえば私は成人式に参加する年だった。

1年も前に気に入ってレンタルした着物に着替えて、なんとなくワクワクした気持ちで式に出発するまで家で待つ。

式も順調に終わり、中学の先生方と会食。その後の2次会。

2次会中、母からラインが来た。

「玄関に犬がいるから、帰ってきた時気をつけてね」

 

心が躍った。犬がいる。ちなみにこの時先住犬がいるので飼うのは初めてではない。

でも新しい刺激にワクワクしている。

2次会どころではない。早く帰りたいと若干思いつつ、帰る時まで待った。

 

家に着き扉を玄関の前に立つ。事前に母には連絡してあるので私が帰ってくるのは知っている。

鍵を開けてゆっくりドアを開けた瞬間

「ワン!!!!ワ”ン”!!!!!!!!!!!!」

耳が痛いほど犬が鳴いている。

母は犬が出て行かないように抑えているのでその間に入る。すごいうるさい犬だった。

夜遅い時間にわんわんずっと鳴いているので早寝の母は寝れずにいる。

 

名前を聞いてみた。”もこ”

あー確かにもこもこしてるからなあ。って思ってみてた。

毛はシーズー特有の長さというか、なにもしていない長さで目が隠れている。

服はずっと着せていたのか汚く汚れてる。

汚れているのでとりあえず昼間にシャンプーをして家の中に入れる予定で玄関に今はいるらしい。

普段の私だったら、そのまま着替えて寝ると思うけど、その日は違った。

汚れてもいい服に着替えて、もこをシャンプーしようと準備を始めた。

 

1月は寒い。夜なんか体の芯から冷える。半袖短パンでもこを洗った。

風邪を引かないように、しっかりタオルで拭いてドライヤーをかける。そんなにシャンプーもタオルもドライヤーも全然嫌がらない。

なんなら先住犬の方がわがままなので嫌がる。

普段なら寝てる時間に起きてる母も手伝ってくれてドライヤーが終わった。

ベタベタだった毛も、ブラッシングしながらドライヤーをかけたのでもこもこのふわふわになった。

 

小さい頃近所のシーズーに指をがっつり噛まれてから犬が怖く、特にシーズーが怖かった。

恐る恐る触ると全然噛んでこない。

よかった今のところ噛まない子か。安心した。

母はケージを買っていたらしく、それを組み立ててもこを入れようとした。

ギャンギャン吠える。耳が痛いほど鳴く。

10分程我慢したが無理だった。これじゃ寝れない。ケージから出そう。

ケージからゆっくり出して、部屋の中で自由にさせた。さすがに家中自由にさせるのは危ないので、私の部屋の隣の部屋で自由に動いてもらう。

 

そういえば”もこ”っていとこの犬もおんなじなんだよなあと母とそんな話をした。

でもずっと”もこ”で生きていたから名前変えるのも…となったので、おじいちゃん犬だから”もこじい”でいいじゃんってなった。

「もこじい、良いね。わかりやすい」

母も気に入り、もこじいと呼ぶようになった。

ふとおやつをあげたくなった。先住犬が食べている小さな犬用ビスケットを1個取り出す。

 

「もこじい、お座り!」

母は、しつけなってないらしいからできないんじゃない?って様子をみている。

もこじいは私をじっと見ると、ゆっくり腰を下ろした。

えっ、お座りした!

「待て……、よし!」

お座りしたもこじいの前にビスケットを置いてよし、とビスケットに指をさす。

その合図でパクッと食べ始めた。

この子はいい子だ。しつけのなっていない犬なんかじゃない。

そう思った。母もそう思っていた。

吠え癖は仕方ないけど、すごくいい子だ。

 

そんなことで、もこじいとの生活が始まった。

 

 

おしっこはやっぱりどこでもするので、おむつをつけることにした。

おむつをつける時も嫌がらず噛みついてこない。(先住犬は噛み付いてくる)

ご飯を食べてる時に触っても噛みついてこない。(先住犬は近づくだけで唸ってくるし噛み付いてくる)

すごくいい子だ。

ただやっぱりケージは嫌いらしく、入れると嫌がって吠える。

なので買ってきたケージは役に立ってない。

夜は私の部屋で寝ている。犬用のあったかいハウスを買ってみたが、気づいたら私の布団の中で寝ていた。

犬と一緒に寝るのは始めてなので踏まないか緊張したけど、案外無意識の状態でも気遣いできるんだなって知った。

もこじいは布団に入りたい時、寝てる私の肩付近の掛け布団を爪でジャッジャ、と掻いてくる。私は寝ているが寝ながら掛け布団を上げてもこじいを中に入れてるらしい。

 

散歩も好きで、母は1時間も歩いてると教えてくれた。

私と散歩に行くと、私より後ろで歩くのが気に入らないというか負けず嫌いなのか、おじいちゃんなのにサカサカ前に早歩きしていく。

面白い。優雅に歩くその後ろ姿が可愛い。

 

病院につれて行くと、先生は「この子は心臓が悪いですね…」と言ってきた。

心臓が急にバクバクしたり、苦しかったりするらしい。

おじいちゃんだから仕方ないしな、と思った。でも散歩は相変わらずハキハキ歩いている。

これは急に具合を悪くして亡くなるまでハキハキ歩いていた。

 

話は飛んで、本題に入る。

2022年5月に、期間限定のバイトで働くことになった。

そこは7月頃から忙しくなってくる職場で、職場の人も優しく、またそこで好きな人ができて一緒にご飯行ったりと、仕事と恋愛で毎日忙しかった。帰ってくるのは23時とか夜遅い。

その頃からもこじいは具合が急に悪くなった。

ご飯はそんなに食べれないし、発作を起こす。

母はずっと付きっきりだった。

でも私は仕事に朝早く行って、夜遅く帰ってすぐに寝る。

もこじいを触ったり、構ったりしないでまた次の日になる。

今思うと、なんでそんなことしてるんだって当時の私を殴りたくなる。いや、殴ってる。

 

8月4日、職場の人とご飯に行って付き合った。浮かれてた。その日も20時頃帰って、もこじいが寝ている場所と違う自分の部屋で通話してた。

ウキウキして浮かれてた。

次の日、いつものように早く仕事に行こうとした。8月5日の金曜日。

玄関で靴を履いてた。母がもこじいを抱っこして、

「もこじい具合悪くていつ何が起こるかわかんないんだから。挨拶くらいちゃんとしな」

はいはい、って感じで、でもたしかに、って思いながら「もこじい、行ってくるね」って顔をわしゃわしゃしながら顔をみた。みたのかな、あんまりもこじいの顔覚えてない。

 

職場では、これから忙しくなるからレジのやり方を教わってた。10時くらいだった。その時母から電話がかかってきた。

出なくてももうわかった。本能で理解した。

「もしもし」

「もこじいが、もこじいが死んじゃった…!」

「うん、うん…今行く、早退させてもらう」

社長に説明してすぐに帰った。

運転しながら涙が出てきた。事故らないように安全に、でも泣きながら運転した。

ごめんね、って言いながら涙が止まらなかった。

だってずっと生きてるって思ってたんだよね。動物と人間は時間の流れが違うのはわかってるのに、あんなに元気に生きてたら死ぬなんてありえないと思った。

 

家に着いてすぐに居間に行く。

エアコンと扇風機、空気の音がうるさいほど耳につくと感じながら座ってる母の足元にバスタオルに包まれてるもこじいが寝てた。

気持ちよさそうにぷうぷう寝てた。

「もこじい」

名前を呼んだ瞬間、私は大声で泣き出してしまった。

大人なのに、怒られた子供みたいにわんわん泣いた。

泣きながらもこじいを優しく抱きしめる。心臓に耳を置いてみた。

なにも音がしない。心音も、心臓が悪いもこじいは、いつも雑音というか、ザーっていう感じで心音がしていた。

それがまったくなくて、ぬいぐるみに耳当ててるみたいだった。いや、ぬいぐるみは耳に当たると布の擦れる音がするけどもこじいはなんもなかった。

少しぬるくなってて、これがどんどん冷たくなっていくんだなって思った。

 

落とさないように、丁寧にバスタオルに包んでるもこじいをゆっくり抱っこした。

だっこはあんまり好きじゃなくて、でも何年も一緒に過ごすうちに抱っこは割と慣れてきたもこじい。

抱っこし慣れてないからいつも体を硬くして緊張気味のもこじい。長時間抱っこすると嫌がっていやいや、ってするもこじいが私の腕の中で大人しく抱っこされながら寝ていた。

私の涙がポタポタともこじいの顔や体に落ちても私は涙が止まらなかった。

悲しい涙ももちろんあったけど、悔しくて涙が止まらないのだ。

具合を悪くしてから数日間私はもこじいに何をしていたんだ?

ろくに名前を呼んだり、撫でたり、だっこしたりしたか?

ご飯をあげたりおやつも食べさせたか?

 

なにもしていない。夜遅く帰ってそのまま布団に入って一緒に寝て、朝起きてそのまますぐに仕事に行く。名前を呼んで行ってきますとも言わなかった。

亡くなるその日、久々に名前を呼んだだけだ。

本当に悔しい。なにもしてやれなかった。

身の回りの面倒は母がやっているのに、一緒に寝たりそばにくるのは私だった。

もこじいは私を好きで、私のそばにいたかったはずだ。でも私はそれをできなかった。

なんで私はバカなんだ?もこじいはきっと私に何か言いたかったかもしれないのに。

 

でももこじいをそのままにするわけにはいかない。

母に、もこじいを火葬できるところを探そうと言われ、私も急いでネットで調べた。

自宅に訪問してくれてその場で火葬してくれる会社を見つけて連絡した。

数時間後にきてくれることになった。

 

その間に、母の同級生で保険会社の女性が来てくれた。

わんちゅーるを持ってきてくれてもこじいに挨拶をしてくれた。

保険会社の女性ももこじいを優しく撫でながら、「頑張ったね、心臓苦しかったもんね。もう大丈夫だよ」泣きながら言ってくれた。

もうその言葉でも一瞬止まった涙がまた溢れた。

そうだよ、もこじいは心臓が悪くて咳き込んだり発作を起こしたりした。

それがもうなくなって、自由になったんだ。嬉しいことなのに、でも、いないんだから喜べない。

扇風機の風がもこじいに当たってふわふわの毛が揺れている。

撫でても全然起きない。同じ体勢だと体痛めるよ。起きないかな。そんなこと考えて余計に悲しくなる。

 

母の姉。私のおばが来てくれた。

おばはもこじいを見た瞬間大きく叫びながら泣いた。

3人でずっと泣いていた。

 

しばらく経って母とおばは落ち着いて話をしていた。

でも私は涙が止まらなかった。ずっとポロポロと涙を流した。

 

 

葬儀屋が来て、準備をするので少し待っていてくれと言われた。

母に言われてもこじいを抱っこして私の部屋に行くことにした。

思い出の場所で準備ができるまでいな、と言われたからだ。

 

だっこしていつも座る座椅子に座って足の間にもこじいを優しく置く。

いろんな思い出が蘇る。

 

そういえばここで座りながら生ハム食べてお酒飲んでたなあ。もこじいは膝に乗って食べてる様子見てたな。

とか、夜私がパソコン使ってる時、もこじいは布団の上に乗って寝てて、寝る準備が終わって私が布団に入りたい時、「もこじい寝るからちょっとどいて〜」って言うと、目をしょぼしょぼさせながら布団からどいてくれて、私が布団に入る。そしたらもこじいは掛け布団の中に入ってくる。

全部いい思い出だ。いい思い出なのに私の数日間の行動が最悪すぎて本当に悔しくて涙が止まらない。

ズビズビと鼻をかんで、涙が出てきて、また鼻をかむ。

母がやってきて、「泣くのをやめなさいとは言わないけど、ずっと泣いていたらもこじいも心配で天国に行けないよ」

確かにそうだ、そう思うけど体と頭が理解してくれない。

もこじいも天国に行きたいのに私が泣いてもこじいに縋っていたらもこじいはずっと残ってしまう。

 

火葬される時、持っていっていいのは紙類、中身を出したおやつ、ご飯だった。

私はもこじいに手紙を書くことにした。

手紙といっても、A4の紙にもこじいと私を描いて、感謝の言葉を少し書くだけ。母にも来てもらってもこじいに言葉を書いてもらった。

気持ちのこもった手紙。天国に出発するとき一緒にこの手紙を持っていってほしいな。

 

葬儀屋の準備ができてついにその時がやってきた。

もこじいを火葬する時間だ。

もこじいを冷たい板に優しく乗せて、おやつやご飯をたくさん置く。長旅になるからね、たくさん持っていかないと。

きっともこじいは優しいから他のペットにおやつもあげるんじゃないかな。だから私はもう少し多めにおやつを置いた。

おばが花を持ってきてくれた。なので1、2本だけ置いて、手紙を最後に置いた。

ゆっくり読んでね。

 

でもダメだった。そんな穏やかな気持ちは一瞬で消えた。

もこじいが焼かれてしまう。消えちゃう。骨になる。

そう思った瞬間、私たち3人は一斉に泣いた。

つい、もこじい行かないでっていってしまった。でも悲しい。連れていかれる。

涙が止まらない。

葬儀屋の方が、大丈夫ですか。よろしいでしょうか。という。

でも仕方ないことだ、行ってらっしゃい、最後にそういって扉がしまってもこじいは消えてしまった。

 

 

4時間くらい待っただろうか。ふわふわだったもこじいは、細い小さな骨になって私たちの前に姿を見せてくれた。

でもその間、おばや母と話をしてだいぶ心は安定してる。

お骨を骨壷に入れるが、涙が出た。でもこれは後悔の涙じゃない。お別れに対して悲しい涙だ。

ありがとう、って思いながらお骨を拾った。

綺麗な淡い水色の布に入れてもらってもこじいは小さなツボに入ってしまった。

でも、なんだろう。骨になった瞬間。もういないんだ、って諦めがついた。

もこじいは写真立てと一緒に仏壇に置いた。

 

3日に1回服を着せてたけど全然嫌がってないな。

男の子なのに可愛いフリフリの服も似合ってたなあ。とか、楽しい思い出がぐるぐる頭の中に巡ってくる。

今もまだもこじいの鳴き声が思い出せる。

 

 

 

 

半年が経った。

だいぶ、それでも当時と比べたら落ち着いた。

でも写真を見るとあの時の記憶が思い出して涙が出る。

もこじいに会いたいな。会って喋りたいな。そう思う。

私が泣いているといつもそばにやってきてくれた。

今もこじいはなにしてるかな。いろんな子と遊んでるのかな。

悲しい気持ちは時間が解決してくれるけど、でもまだまだペットロスからの立ち直りは時間はかかると思う。

後悔の気持ちは私が死ぬ時までずっと消えないだろう。

 

 

長々すみませんでした。